時をかける少女(2010年版)

そして最後に、新作の2010年版の上映。前2本が名作なだけに、監督にしてみればずいぶんなプレッシャーだと思う。原作者まで来たしね。けれど、トークを聴いていてこの谷口監督はかなり真面目に「時をかける少女」に取り組んでいるという印象を受けた。
で、上映が始まるわけですが、正直、始まって20〜30分くらいは「大丈夫かこの映画?」と思ってしまいました。微妙に漂うやっちゃった感。けれど、主人公がタイムリープしてからはだんだん良くなってきて、最終的には満足する感じの映画でした。
いちお、芳山和子の「時をかける少女」の続編ってことだったけれど、ここまでガッツリと続編だとは思っていなかった。それでいて、1983年版とは微妙に設定が違ったりしていて、その辺の距離感をつかむのに少し時間がかかった。あとはこれまでの作品は、主人公が未来から来た男性に恋をする物語だったのに対して、今回は主人公(仲里依紗)が未来から来た側、つまり過去へ行くという逆の設定になっているのも面白い。
けどこの映画は、主演の2人、仲里依紗中尾明慶の演技の良さが相当な比重を占めていると思う。特に仲里依紗はさっきのトークショーでそこにいた人と同一人物とは思えないほど、リアリティのある少女でした。
そんなわけで、3本立ての最後を飾ってくれたわけだが、正直ヒットするかどうかと言えば、しないと思う。「時をかける少女」に特に思い入れのない一般人がこれだけ見ても、まあ面白いとは思うけれど傑作だとは思わないんじゃなかろうか。そう考えると、こういうイベントに来るようなファンは、一般の人よりも本作を評価するのかも知れない。上映後には前2本同様に拍手も起こったし。傑作ではないかも知れないが、佳作ではあると思います。
あと、この映画の主題歌をいきものがかりが歌っているのだけれど、それとは別にOPでは「時をかける少女」のカバーが流れる。これがなかなか良くてですね、原田知世バージョンの雰囲気を適度に残しつつ、今風になっているところがとても良い。というわけで、動画を貼っておきますね。